THE THRILL
日差しはすっかりキツクなりましたが、風が爽やかで日陰が涼しいここ大阪です。
7、8月も気温が上がるだけで、こんな爽やかならいいなぁと毎年思っていますが、大阪の夏は湿度の高い嫌な夏なので、毎年常春の国に亡命したくなります。
さて、そんな自転車には絶好のシーズンですが、ちょっと下向いてみませんか?
今日は自転車のメンテナンスのお話です。 よく普段のメンテナンスは、どうしたらいいのですかと聞かれますが、普通は空気圧の管理、チェーンの清掃及び注油、そして車体をキレイにするだけで、あとは違和感(変速おかしいとか)感じたら、自転車屋さんで見てもらいましょうと、お話しています。
ただ、ハードに乗る人、例えばほぼ毎日通勤やローラー台に乗り、夏などは汗で自転車がボトボトになる様な人は、もう一手間かけて下さい。 具体的には、車体が汗でボトボトになった場合は、車体全体に水をかけて汗とホコリを一緒に洗い流し、その後乾拭きしてから、ワックスをかけるといいでしょう。 水かけて大丈夫?と思われるかもしれませんが、よく外国のプロチームメカニックが使ってる高圧洗浄機を、ヘッドパーツやハブなどのベアリング部分、変速機などグリスが注入されているところに、一点集中でかけない限りは大丈夫です。
普通のご家庭ですと、ホースの先をちょっと細くして勢いよくかけたり、シャワー状にできる先っぽなら大丈夫です。 水かけれない場合は、雑巾などを濡らして軽く絞った程度のもので、拭きあげた後に乾拭きでもオッケーです。
皆さんあまりご存じないと思いますが、人間の体液(唾液、胃液、汗)は凄く危険物なのです。 ゲロは当然ですが、汗が掛かったまま放置すると塗装は痛む、果てはアルミを侵食する場合もあるのです。
汗がかかった部分は、乾拭きだけではダメです。ガラスの上に落ちた汗を乾拭きすると、水気は取れても脂分がガラスの上に”ムニョーン”と伸びてるのを見たことありませんか? 汗は体の冷却も兼ねてますが、基本的に老廃物も排出しているので、口から接収した様々なモノの、不必要な部分を排出しているので、ろくな物ではありません。
よくステムの上が汗で酷い事になりますが、放置した結果がコレです。
 ステム上のトップキャップを取ったのですが、白い粉は実は汗が乾いたあとの結晶です。 そしてその下のヘッドパーツは・・・
 茶色いのはグリスではありません。ベアリングの錆が油分の抜けたグリスのカスと混ざって、泥の様になっています。
ここまでくると、ユーザーさん曰く”乗る前にハンドルを左右に切らないと、ハンドルが動かない”状態だったそうです。 もうそうなったら、ヘッドパーツは丸々交換です。工賃も入れると20000円前後もしてくるので、普段から気をつけて頂ければ、そういう出費も短い期間でする事もありません。
自転車屋さんにメンテナンスで持って行ったついでに、他に悪いとこ無いか聞いて頂けると、悪い箇所以外にも交換時期がきてる部分とか教えてくれます。 自分の命を乗せているものなので、時期がきたら一見大丈夫そうに見えても、生命保険や車の任意保険と一緒で、お金を掛けてください。 いざと言う時のための、備えですから。
あと、車体に水をかけて大丈夫と店頭でも聞かれますが、前述の行為はダメですがワタクシが組んだものならば、ずっとは無理ですが大抵の水害(大雨とか、洗車とか)には大丈夫な様に組んでいます。 しかしそれとて、永遠不滅ではありませんので、こちらも定期的にチェックも兼ねたメンテナンスをお願いしたいです。
余談ですが、ワタクシはブログでは、あまりこれはこういう風にメンテナンスする的みたいな事は書きません。
一つは文章では伝わらない、もしくは意図しない事が誤って伝わるかもと危惧してるからです。 もう一つは、実はワタクシのやっている事は、”慣れればできる、普通の事”だからです。ちょっと違うのはワタクシはその”普通の事”を突き詰めているのです。
そして何よりも大事なのは、”お金を貰うに値する、責任ある仕事”をしていると自負しているからです。 たまに一般の人が、”俺にもできる”と言っているのを見たり聞いたりしますが、あくまでも自分のものだけにしておいた方がいいです。 調子にのって他人のものまでやりだすと、その内痛い目に合います。事故なんかが起こった時、どう責任を取るのかというのを考えたら、怖くてやれないはずです。 ここに整備の仕方を載せると、それを見て誤ったやり方でしないとも限らないので、あまり載せたくないのです。
またワタクシ達をそれを”仕事”として、責任をもって行っています。作業に対する気概が全く違うので、同じレベルにしないでねというのが本音です。
あと、”普通”の事と書きましたが、ワタクシの作業場を見た方ならご存知かと思いますが、作業に使うグリスだけでも、かなりの種類が並んでます。 1台に全ての種類を使うのではないですが、その人の乗る状況などに合わせて使い分けているのです。 それらのグリスは、耐久性も含め全て実地で試して、これならこうだと思えるものばかりです。
これが”普通の事を突き詰める”と言った事で、未だ現在進行形です(その他も含め) 自転車などの工業製品、特に趣味のものは自分で”イジれる”とそれに対する造詣が深まり、面白いです。
作業するなとは言いませんが、”俺でもできる”の”できる”種類が違うというのは、理解して頂きたいと思います。 餅は餅屋という言葉もありますので・・・。
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